2013年6月10日月曜日

投資家・起業家がモバイル+ハードウェアの事業にメロメロな理由




先日のエントリでも紹介したように、シリコンバレーではモバイル+ハードウェアの事業が盛り上がっており、各プレイヤーは多額の資金調達に成功しています。また、現在も多くのプライヤーがこの分野に新規参入しているのです。

少し前までは、ハードウェアのスタートアップというと、プロダクトのデザイン設計が難しい、マージンがソフトフェアより取れない、出荷コストなどがかさみマネジメントが煩わしいなどの理由でこの分野への投資や起業は敬遠されていたようです。

では、なぜ最近このようなスタートアップへの投資および起業が活発になってきたのでしょか。

今回は、ハードウェアのスタートアップがシリコンバレーの投資家および起業家をメロメロにさせる理由について紹介します。

アプリでは不可能なことを、ハードウェアが可能にする


従来のスマホアプリでは不可能であったユーザー体験をハードウェアが可能にし、現実世界とリンクしたより高度なサービスの提供が可能になります。

分かりやすい例だと、FitbitLarkJawbone UPなどは身に付けることでユーザーの体調を自動で測定し、アプリで管理することができます。従来ならば自分でそれらの情報を計測してアプリに入力しなければいけなかった行為をハードウェアがハショってくれるのです。

また、TaggWhistleはペット(犬やネコ)に装着させることで、彼らの体調管理や現在地の把握などができ、今まで個人レベルでの解決が難しかった問題も可能にしてくれる良い例です。

その他にも、SquareNestBASISなど様々な例があります。


 ハードウェアのスタートアップを支援する環境の充実


昨今ではハードウェアのスタートアップを支援するインキュベーターやアクセラレーターが増えてきており、小さくはじめる環境が整ってきたことも好材料です。Lemnos LabsPCH InternationalBoltAlphaLabHAXLR8Rあたりが代表的な例でしょう。彼らは技術の相談から、シッピングの方法まで幅広くサポートしてくれるようですよ。

また、クラウドファンディングの普及も大きな要因のひとつです。
ハードウェアで事業を行うことのネックは過剰在庫なのですが、KisckStarterなどのクラウドファンディングサービスを通じて、プロダクトの需要および初期出荷個数の把握が可能になるので、スタート段階で余剰在庫を抱えるリスクが減ります。

実際、多くのハードウェアのスタートアップがクラウドファンディングを利用しており、スマートウォッチを販売する、Pebbleは2日で$100,000を集め、最終的には$10,000,000もの資金と85,000の初期出荷台数を確保しました。

マネタイズが予測しやすい


ハードウェアが絡む事業は、莫大なユーザーを集めるまでは利益をまったく生まないメディア系の事業と違い、基本的にハードウェアを販売することや、その後もプレミアム会員などの手法でソフトウェアのサービスを提供することで課金することができるなど、初期段階から収益化の予測がしやすいことも特徴でしょう。


参入・開発コストの低下


前回のエントリでも言及したように、3Dプリンタや小型チップの性能向上、新興国による安価な製造拠点の充実などにより、容易にプロトタイプの制作が可能になり、小ロットで製造、出荷もアウトソーシングできたりなど、参入コストが以前と比べ物にならないほど低下しました。

それに加え、プロダクトのソフトウェア部分もスマートフォンのアプリが担っているため、ハードウェアを新しく買い替えてもらうことなく、サービスのアップデートが可能になり、新規プロダクトの開発コストを大幅に削減することができるのです。


以上のような理由から、シリコンバレーをはじめとする海外の投資家および起業家は、台頭するハードウェアのスタートアップに興味津々なのです。

【関連エントリ】
・『シリコンバレーでは『モバイル+α』の波がきている