2013年12月31日火曜日

2013年のエントリを振り返る「シリよろ」5つの記事



2013年も残すところあとわずか。今年の4月に始めた『シリコンバレーによろしく』は、読者の皆さまに支えられて、何とかこれまでに43記事書いてくることができました。


2013年のエントリ振り返りということで、シリよろの記事をサクッと5つ選出してみました。

1、Amazon創業者ジェフ・ベゾスは起業するために就職を選んだ



Amazonの創業者でありCEOのジェフ・ベゾスが会社を立ち上げるまでの過程に言及したエントリです。彼は起業するために会社に入って学ぶという選択肢を取り、30歳でAmazon(当時はカダブラ)を立ち上げます。将来会社を立ち上げたいが、今は自信やアイディアがないという学生には、イケてるベンチャーに就職し、結果を残しながら準備をするという選択肢もあるのかなと。


2、1年半で132億円を集めたライフネット生命の調達額をシリコンバレーの企業と比較してみた



ライフネット生命が、1年半で132億円を集めたという事実を知り、シリコンバレーのスタートアップと比較してみたら面白いのではないかと考え、ネタ的に書いてみたエントリです。日本では保険業の会社を立ち上げるには最低でも100億円?(詳しい数字を忘れました…)が必要らしく、ライフネット生命は見事にこの金額を調達してのけました。大きい金額を調達すれば良いという話しではないですが、日本からも良い意味で多額の資金調達を達成するスタートアップが出てくると、この界隈も盛り上がっていきそうですね。


3、ビットコインとは何か?今さら聞けないビットコイン(Bitcoin)を5分で理解できるまとめ



2013年、多くの人の注意を惹きつけたのがビットコイン。なぜビットコインが掴みどころのない存在なのか、国家を揺るがす存在になりうるかなどについて言及しているエントリです。初期のビットコインは、オタクの勲章だったというところがポイント。


4、たった2タイトルのみで四半期1.79億ドルを売り上げた驚異のゲームメーカーSupercell



パズドラの株価が1兆円を超えた!などと盛り上がりをみせていた日本のソシャゲ界隈。一方海外に目をやると、Spurecellが四半期で1.79億ドルを売り上げるなど、バケモノ級の売上を上げているのが印象的でした。このエントリを書いたのが5月、同年の10月にソフトバンクがSupercellを約1500億円で買収。


5、Twitterマフィアの始まり、3人の創業者(Jack Dorsey, Ev Williams, Biz Stone)と150人の卒業生



今年のスタートアップ界のめでたいニュースは、Twitterの上場。上場時には既に創業者の3人は会社を離れており、それぞれ新しい会社をはじめているという点に注目したエントリです。彼ら意外にも多くの人材を輩出した(orこれから輩出していく)シリコンバレーのエコシステムついて言及しました。


【番外編】2014年に日本でブレイクしそうな5つの海外発サービス



年末にTHE BRIDGEにゲスト寄稿した記事。来年日本でも話題になりそうなサービスを選んでみました。来年も面白い年になりそうです。

佐々木俊尚さんもTweetしてくださいました。



以上、こんな感じで引き続き、楽しみながら更新していく所存です。

来年も「シリよろ」をよろしくお願いいたします。

それでは、良いお年を!

 

2013年12月27日金曜日

Snapchatを3分で解説!Snapchatは何がすごいのか?4000億円の買収を蹴った23歳CEOスピーゲルはこうマネタイズする



今回は、米国を中心に話題沸騰中のアプリ、Snapchatについて取り上げます。

おじさんの世代には理解し難いですが、ティーンエイジャーの間では確実に流行っている今もっとも注目すべきアプリのひとつです。


Snapchatとは



Snapchatは、写真やショートムービーを送信し合うコミュニケーションアプリで、送られた写真は相手が1度閲覧したら自動的に削除されるシステムになっています。写真には文字を追加できる上にお絵かきも可能で、使ってみるとこれが結構楽しいのです。※使ってみた系の記事はこちら

米国を中心にティーンエイジャーにめちゃくちゃ刺さっており、Business Insiderにると、2013年の12月時点で、ダウンロード数約6000万、月間アクティブユーザー約3000万人、そのうちの55%が毎日使っているため、デイリーアクティブユーザーは約1650万人だというから驚きです。(※公式な数字は非公開)


1日に4億枚以上の写真がSnapchatでシェアされており、これはFacebookの3.5億枚を超える数字なのだとか。ユーザーは主に中高生で、70%近くが女性。共有を比率でみると、49%がSC、43%がFBになります。(Business Insiderより)


Snapchatの魅力


(RantLifestyleより)

Snapchatの魅力は、メッセンジャーアプリやTwitterのように、過去の記録が5年や10年後も残らないことです。Snapchatで送信された1〜10秒の情報は1度閲覧されたら消滅するため、言い方によればよりリアルに近いコミュニケーションの形なのかもしれません。(対面での会話の内容が数年後も記録として残らないのと同じで)

確かに、当時好きだった異性を口説く過程の甘酸っぱいメッセージが、いつまでも残ってしまうのはクールじゃないですよね…。

加えて、画像or動画ベースの情報媒体というのも魅力(女子はお絵かき機能でデコるのも好きそう)。異性とのコミュニケーションや、ネタ系メッセージの送信などに相性が良さそうです。もし自分が中高生だったら今以上にSnapchatにハマっていたイメージが持てます。


また、そんなSnapchatを生み出した23歳CEOのEvan Spiegelは、Facebookからの約3000億円の買収、Googleからの約4000億円の買収提案を蹴ったとの噂もあります。設立から2年半年で会社を3000億〜4000億円の評価額にしたのはすごい。


 4000億円のオファーを蹴った23歳のスピーゲルとは


(freshINFOSより)

スピーゲルは、1990年6月生まれの現在23歳。スタンフォード在学中の2011年春に、「Picaboo」というSexting(性的な写真やテキストを送受信する行為)に特化したアプリを、Bobby Murphy、Reggie Brownらと共に開発、これがその後のSnapchatになります。(※ブラウンは2011年8月に追放)

2011年夏の終わり時点で、友人の周りでひそかに使用されだし、ユーザー数は100人程度。2011年秋、Snapchatに名称変更。また、この時期にユーザー数3000人を突破します。続く、2012年初頭にユーザー数3万人突破。そして、2012年3月$485,000のシードマネーを獲得 。その後、2012年12月、SV AngelやBenchmarkから約12.5億円を調達。2013年6月に約60億円、2013年12月に約50億円とコンスタントに資金を調達してきました。

設立2年半の会社が4000億円の評価額で売却というのはこの上なく良い条件です。この条件を断った理由として、①バイアウトするにしても更に評価額を上げる(マネタイズは見えないが更にユーザー数を伸ばす)自信がある、②マネタイズの方法が見えており、IPOを狙う自信がある、のどちらかが考えられます。


 Snapchatの収益化と今後



仮にSnapchatがマネタイズするとしたら、以下のような方法が考えられます。

①、企業アカウント課金
LINEの企業アカウント同様、企業が公式のアカウントを所有し、それをファンのユーザーがフォローする形式。企業は、ユーザーに対してショートCMやクーポン(シリアルナンバー付きの画像を送り、スクショを撮ってもらう形)を発行するなどの目的でアカウントを利用できます。実際に米ファーストフードチェーンのタコベルが既にアカウントを作成してプロモーションに活用しているみたいです。(※まだ公式アカウントとして課金はされていない)

②、ユーザー課金
Snapchatが保有している「イケナイ」情報はサービスの肝ですし、めちゃくちゃ価値のある情報です。このサービスが「Picaboo」というSextingのアプリとしてはじまったように、依然Snapchatでもグレーな情報がやりとりされています。また、そこまでディープなものでなくても、好きな異性が少しでも写っている写真は、もう一度見たいものです。

そういった欲求を満たすべく、プレミアム会員は1日3枚まで再閲覧でき、スクショも内緒で1日数枚取れる(通常はスクショを取ると相手が分かるように設定されている)、もしくは1回再閲覧するor内緒でスクショをする毎に数十円課金なども十分考えられるのではないでしょうか。好きな異性のためなら中高生であっても数百円くらい払いそうです。(※ただ、過度のリプレイ、スクショを許す行為は、ユーザーが写真をシェアしにくくなるという難点もあるので、その辺のさじ加減は重要)

このモデルはmixiの足あと機能に近い感じですかね。好きな子のページは何度も見たいけど、たくさん訪問するとバレて気持ち悪いので、月10回までなら足あと(訪問履歴)を消去できる。ただし、それ以上消したかったらプレミアム会員になる必要があるというモデル。

他にも、王道でフィルターやスタンプなどもありそうですね。

また、最近のアップデートで追加された、1日1度だけ送信された写真をリプレイ(再閲覧)できる機能がとても興味深いです。これにより、過度なSextingやいじめ系投稿の抑止になる上、ユーザーのアクティブ率を高める効果もありそうです。一方で、リプレイの需要を測定しマネタイズの可能性を模索しているようにも思います。やはりこういう課金モデルでいくのではないかなー。

TechCrunch Disrupt SF 2013に登壇したスピーゲルは、いわゆるソーシャルメディア的なフィード機能に感心があること、まだ直接の競合はいないこと、将来しっかりマネタイズはしていく趣旨(具体的な方法は不明)、収益化では中国のテンセント(WeChatなどを開発)を見習っていることなどに言及しました。(上記動画参照)

まだ可能性が未知数なSnapchat。今後の展開に注目です。

 

【参照元】
The Truth About Snapchat's Active Users
The Snapchat Lawsuit, Or How To Lose Your Best Friend Over $70 Million
CrunchBase

2013年12月22日日曜日

英語圏では自撮り(Selfie)が大流行!オバマやローマ教皇もパシャリ!の波から見る次のアプリ



英語圏では、自撮りが大流行しているようです。

今年、オックスフォード辞典が発表した流行語大賞は、自撮りを表現する俗語の『Selfie(セルフィー)』になったほど。


流行を象徴する自撮り(Selfie)たち


例えば、オバマ夫人とその娘のSelfie。


夫のオバマ氏もパシャリ。



ローマ教皇も若者とパシャリ。


撮影した写真はこんな感じになる。


ヒラリー・クリントン氏も母親とSelfie。仲良しですね。


ビヨンセのコンサートで、ビヨンセと一緒にパシャリ。


ボール直撃0.1秒前の危険なSelfieがこちら。


フィールドを爆走する笑えるセルフィーも。2人とも良い顔してますね。


これらの写真が自撮りの盛り上がりをよく表しています。(写真BuzFeedより)
昨今、自撮りが流行っている背景としては、iPhone5以降のインカメラの画質が向上したこと。インカム搭載の安価なアンドロイド端末の普及などが考えられます。


ジャスティン・ビーバーも出資するShots of Me


(写真:TechCrunch)

InstagramやVineのようなカメラアプリでも自撮りはされていますが、この自撮りブームを加速させた(orブームに乗っかった)のは、自撮りに特化したアプリ達です。ひとつ目は、Shots of Me

Shots of Meは、2010年に設立されたRockLiveというスタートアップが、2013年11月にローンチした、インカムで自撮りをし、ただ共有するだけのアプリです。めちゃくちゃシンプル。

自分の自撮り写真に悪口を書かれたくないよね。ということで、コメント欄は設けていないのだとか。

また、米国人気俳優のジャスティン・ビーバーが投資していることで有名です。

このアプリでは、自分のどアップ顔を撮影するのではなく、自分と背景(場所)を含めて撮影するところがポイント。◯◯に来ました〜!的な記念撮影の用途が多い印象を受けます。


2枚の写真がストーリーを生み出すFrontback



お次は、FrontBack。アウトカメラとインカメラで撮影した2枚の写真をひとつにしてシェアするアプリです。(※ちなみに、アウトカメラとインカメラの撮影は同時ではない)

写真を2枚撮影することで、そこにストーリー性が生まれるのが特徴だと思います。

2011年にベルギーで設立し、その後ニューヨークに進出したCheckthisという写真にコメントを付けてシェアするアプリを開発していたスタートアップが、ピポッドして2013年8月にローンチしたものがFrontbackです。

このアプリが生まれるきっかけになったのが、創業者のDellaが2013年3月にCheckthisに投稿したこの写真↓

(写真:TechCrunch)

この写真からヒントを得たCheckthisのメンバーはFrontbackの開発に注力。以後、マーケティング費用をまったくかけない状態で30万ダウンロードを記録します。最近では、俳優のアシュトン・カッチャー、Twitter創業者でSquareのCEOジャック・ドーシー、ベルギーの首相らがFrontbackを使用したことで話題になりました。また、Twitterから買収提案があったとの噂もあります。


鏡の反射を利用した自撮り文化は昔からあるので、インカムの進化によって自撮りが盛り上がること自体はそれなりに納得できますが、これらのアプリが次のInstagramと呼ばれるほど人気を保てるかどうかは疑問が残ります。

今、話題沸騰中のSnapchatも自撮り的な用途で使われることも多々ありますし、Instagramも彼らにとってかなりの強敵でしょう。

このような自撮りに特化したスタートアップがどのような形でエグジットするのか、とても興味深い今日このごろです。

 

【参照元】
The 23 Most Important Selfies Of 2013
Justin Bieber-Backed “Shots Of Me” Launches Selfie Sharing App
Buzzy Photo App Frontback Shuns Twitter Interest, Raises Millions Instead

2013年12月13日金曜日

2013年に日本へ進出した海外スタートアップまとめ。Fab, AirBnB, Uber, Fancy, Spotify, Pinterestなど。



2013年は多くの海外スタートアップが、日本の市場に進出(もしくは進出を発表)した年であったように思います。

いくら中国やインド、東南アジアのモバイル保有数が伸びても、所得水準が高く国民の携帯に関するリテラシーが高い日本は無視できない市場です。よって、多くの海外スタートアップは英語圏の次に日本の市場を攻略したいと考えています。

そこで今回は、昨今日本市場に参入した海外スタートアップをまとめてみました。

※Facebook、Twitter、Evernoteといった古株は除き、2013年〜2014年に日本進出をするorした企業に絞りました。

※日本進出は、日本法人を設立している、日本人をローカライズのために雇用している、担当者が来日し日本進出を宣言している、のどれかに当てはまるものと定義しました。


1、Fab.com


Fab.comは、2011年にJason Goldbergによって設立されたソーシャルコマースの会社です。SV Angel、Andreessen Horowitz、Atomicoなどのシリコンバレーで名高いVCや、ドコモ、ワシントン・ポスト、伊藤忠などの事業会社系から俳優のアシュトン・カッチャーまで、幅広い分野のプレイヤーから資金調達を行っています。日本進出は、伊藤忠とジョイント・ベンチャーという形で2014年から本格的に始動する予定。

現在1300万人以上の登録ユーザーを有しており、創業2年目で250億円以上の売上を誇るサービスです。(※売の35%は欧州から)

また、成功の秘訣として、ローンチ前にメール会員を最低でも10万人以上獲得することを条件にしているようです。 実際にローンチ前には、ティザーサイトの公開後わずか30日で5万人、3ヶ月後には16万5000人ものメール会員を集めたのだとか。メール会員の効果もあり、サービス開始から18日で約1億円以上を売り上げたというから驚きです。

他に特筆すべきなのはリピート率の高さ。約7割のユーザーがリピートなのだとか。Jasonは、 Fabは何かが欲しいけど、具体的には何が欲しいか分からない人を対象にしている。どこにも売っていないユニークな商品を集めることに注力しており、Amazonとの大きな違いはそこだと言及しています。

2、Pinterest



Pinterestは、2010年のローンチ後米国で爆発的にユーザー数を伸ばしたプロダクトとして有名です。(※2013年12月現在世界で約5300万人のユーザー)

ピンボード風のデザインに画像や動画を収集していくサービスで、女性を中心に支持を集めています。ピンボード風のUIをIT業界に流行らせたのもPinterest。


↑Pinterestの驚異的な成長(TechCrunch記事より)


これまでに約338億円を調達しており、Max Levchin、Ron Conwayなどの有名投資家、Andreessen Horowitz、Bessemer Venture Partnersなどの老舗VC、日本からも楽天が約50億円を出資しています。(※日本語版ではログイン時に楽天IDが使用できます…)

2013年の11月に日本語版をローンチ。日本法人も設立しており気合が感じられます。 日本以外ではフランス・イタリアに法人を構えているのだとか。


3、AirBnB



AirBnBは、YC生によって2008年にローンチされた、空き部屋を貸し借りすることができるサービスです。(※サービス名は「エアーベット&ブレックファースト」という意味)

これまでに約326億円を、Sequoia Capital、SV Angel、Andreessen Horowitz、Founders Fundなどの有名VC、またAmazonの創業者Jeff Bezosから調達しています。

現在では、ホストは全世界192ヶ国3万4000の都市におり、20言語30通貨に対応しています。 AirBnB経由で宿泊したゲストは2011年1月には400万人ですが、2013年には900万人に達しています。


TechCrunch Tokyo2013でアジア太平洋地域のマネージャーであるRuch氏が登壇。まずはじめの100人に愛されるサービスになるよう努める姿勢です。2013年9月に日本語版がスタート。Twitterアカウントの運用も開始されています。


4、Uber



Uberは、2009年に設立されたハイヤーの配車サービスです。配車状況の可視化と、料金決済がモバイルで完結する(キャッシュレス)という2つの点がポイント。現在までで総額約307億円を調達しています。最近では、Google VenturesがUberへ約258億円の投資ラウンドをまとめたことが話題になりました。

日本では2013年11月に六本木・麻布エリアで限定ローンチされました。 現在、世界22ヶ国で展開しており、 特に中国、マレーシア、シンガポール、韓国などのアジア諸国への拡大に注力しているのだとか。

類似サービスだと、イギリスのHailo(ヘイロー)日本でのサービスを開始しました。(※HailoはKDDIから投資を受けています)


5、Square



Squareは、Twitter創業者のJack Dorseyが2009年に設立したモバイル決済を提供する会社です。北米では、400万を超える、中小企業や個人事業主が導入しており、Squareを使用したクレジットカード決済の総額が年間で1.5兆円にのぼるのだとか。これまでに著名個人投資家やVCから約341億円を調達。

2013年5月に三井住友カード株式会社と提携し、日本向けにサービスをローンチしました。その他にも、日本ではCoineyや楽天、ソフトバンク(PayPalと提携)がこの分野でしのぎを削っています。


6、Spotify



Spotifyは、2006年にスウェーデンで創業された音楽ストリーミングサービスです。現在2400万人の会員、600万人の有料会員を獲得しており、年間の売上は1000億円を超えるとか。2013年12月現在世界55ヶ国に展開しており、提供している曲は2000万曲以上。

もちろん日本でも着々とローンチの準備が行われています。最近では、Spotifyのデスクトップおよびモバイルアプリが日本語対応されているなどの変化もありました。また、 日本語でのティザーサイトも用意されています。アーティストやレーベルとの権利関係の調整に時間がかかっている印象です。


7、Fancy



Fancyは、2009年に設立されたソーシャルコマースの会社です。Twitter、Squareの創業者ジャック・ドーシーやFacebook共同創業者のクリス・ヒューズが役員で入っているスタートアップです。全世界75ヶ国で展開しており、現在1000万人の会員を獲得しています。

2013年に日本語版をローンチ。 同年10月には、伊勢丹のオフィシャルページがオープンしました。 また、各都市で即日配達サービスを開始しているようです。

※ハンドメイドECのEtsyも日本対応(出荷および円表示)を開始しましたし、多くのソーシャルコマース系のサービスが日本に参入した印象。


8、Box




Boxは、2005年に創業された企業向けにストレージサービスを提供する企業です。企業向けのDropboxと言うと分かりやすいかも知れません。Andreessen Horowitz、Draper Fisher Jurvetson、Salesforceから総額約409億円を調達しています。また日本からも三井物産、伊藤忠テクノロジーベンチャーズがBoxに出資しています。

米国ではすでに18万社以上がBoxのサービスを利用しており、フォーチューン500社の企業のじつに97%の企業がなんらかの形でBoxのプラットフォームを利用しているのだとか。

2013年11月に日本法人を設立、  2014年4月に日本語版をローンチ予定です。


9、Zendesk


(写真:Supporting those who support the masses, man-boobs excluded.)


Zendeskは、2007年にデンマークで創業されたクラウド型カスタマーサポートサービスを提供している会社です。顧客サービスに関する、窓口からの問い合わせやコミュニケーションを、クラウド上で一括管理することができる便利なツール。

2007年当初の導入企業数は100社程度、しかし現在では世界140か国で2万5000社以上の企業に導入されているようです。

2013年、日本法人を設立。デンマーク、英国、オーストラリア、アイルランドに続く5番目の現地法人なのだとか。※3年後に日本での導入企業を1000社に拡大することが目標

MOVIDAやオンラボなどのインキュベーションプログラムに採択されたスタートアップ向けに一定期間無料でサービスを提供する取り組みなども行われています。

※先日、日本オフィス開設パーティーに参加してきました!縁日風のユニークなパーティーで、CEOのミッケル自らハッピを着用し、来客をもてなしていたところが印象的。本当に良いチームです。

10、AnchorFree



AnchorFreeは、2005年に設立されたHotspot Shieldというセキュリティソフトを提供している会社です。Hotspot Shieldは、無線LANアクセスポイントの通信を暗号化し、安全なネット環境を提供してくれます。

 セキュリティというと地味に聞こえますが、外部からトラッキングができない環境でネットが使えるということは…。つまり、国別で規制されているサービスを利用できるようになるという神アプリなのです!これを通じてHuluやNetflixに国を問わずアクセスできるよになります。素晴らしい!

(AnchorFree提供資料より)

現在、デスクトップとモバイル向けにアプリを提供しており、デスクトップで月間3300万ユーザー、モバイルで月間320万ユーザーを獲得しています。着実に成長しているプロダクトという印象。 まだ日本法人はないものの、先日CEO自ら来日するなど、日本市場への参入意欲を見せています。留学生が重宝しそうなアプリです。


11、Path



Pathは、2011年に元FacebookのDave Morinにより創業されたクローズドなSNSを提供している会社です。今年、登録ベースで1000万ユーザーを獲得。クローズドのSNSではトップクラスの規模を誇るプロダクトです。

2013年2月にPath副社長のMatt Van Horn氏が来日し、本格的な日本語対応を発表。Amazon、Appleを渡り歩いてきた進藤氏が日本のGMに就任しました。


12、The Real Real



The Real Realは、2011年に創業された高級ブランドの中古品を期間限定で販売するマーケットプレイスを提供している会社です。

買い手は、高級ブランドの中古品を手頃な価格で手に入れることができ、売り手は、電話一本で自宅まで中古品を引き取りにきてくれる便利なサービスです。 個人のみならず、リサイクルショップなどの法人からも商品を預かり、写真撮影から商品掲載、決済や発送まで一括して代行してくれるのが特徴。

米国では、主要16都市でサービスを展開しており、会員数は130万人。月間サイト訪問者数は150万人で、購入者は30〜55歳の女性がメイン。リピート率が60%と高く、1回あたりの平均購入金額は3万円、年間の平均購入金額は20万円なのだとか。13年度の取引額は50〜60億円になる予想。

日本法人のCEOとして、元グルーポン・ジャパンの代表の瀬戸氏が就任しました。 2013年8月に日本でサービスをスタート。


13、Noom



Noomは、ダイエット・コーチングアプリを開発している会社で、2008年にGoogle出身のエンジニアArtem Petakov氏と19歳で渡米した韓国出身のSaeju Jeong氏によって創業されました。

「Noomダイエットコーチ」以外にも「Noomウォーク歩数計」などいくつかのヘルスケアアプリを提供しており、そのアプリは累計で1800万ダウンロードを記録しています。また、「Noomダイエットコーチ」に限っては、既にAndroid版だけで500万以上ダウンロードされている海外で人気のヘルスケアアプリなのです。

日本進出にあたっては、現地のマーケターを募集、日本向けにキャンペーンを行うなどの動きを見せています。Twitterアカウントはこちら


 

以上、昨今日本に進出した13の海外スタートアップでした。

 

2013年12月2日月曜日

ビットコインとは何か?今さら聞けないビットコイン(Bitcoin)を5分で理解できるまとめ




最近、よく記事で目にするビットコイン(Bit Coin)。ただ、素人の自分にはどの記事を読んでも、イマイチよく掴めない部分があったので、今回色々考えてまとめてみることにしました。

「世界共通の仮想通貨!」「国の通貨発行権を脅かす?」などと騒がれているビットコインですが、前提として通貨の仕組みを把握することで、ビットコインの理解をぐっと深めることができると思います。

前置きが長くなりますが、騙されたと思ってお付き合いください。(※んなもん知ってるよ、という方は最初の部分は飛ばしていただいて結構です。)


通貨の仕組み


まず、お金という概念についておさらいしていきます。ご存知の通り、皆さんが普段から普段から大切にしている1万円札や、500円玉そのものには価値がありません。1万円はただの紙切れですし、500円はただの銅のかたまりです。

では、なぜ1万円札を支払うとその対価としてモノやサービスを手に入れることができるのか?それは皆さんが、1万円の紙切れを価値のあるものだと「思い込んでいる」共通認識があるからです。その思い込みを一般的に「信用」と呼びます。

では、なぜ多くの人がただの紙切れや銅のかたまりをそこまで信用できるのでしょうか。それは、紙幣を貨幣を発行している中央銀行ひいては国を信用しているからなのです。政府のマネジメント能力が低い国の通貨は信用できないので安く評価されますし(極論、国が倒れたらただの紙切れなので)、マネジメント能力が優れている国の通貨は、一般的には高く評価されます。

ここで抑えておきたいことは、①お金は「それに価値があるという共通の思い込み」があってはじめて成り立つこと。②現代社会では、人々は無意識のうちに貨幣価値の裏付けとして「国を信用している」ということです。


ビットコインが掴めない理由


ただ、いきなり通貨発行者(現代では国家)が、「この紙が今日から1万円の価値になるから、よろしく!」と言ったところで、人々(国民)が信用するはずがありません。

国が人々から信用を得る以前は、希少価値のある(採掘できる総量に限界がある)「金(ゴールド)」を信用の担保としていました。いわゆる兌換紙幣(同額の金貨に交換することを約束した紙幣)という仕組みです。

人々からしたら、紙切れを持っていけば、いつでも希少価値のある金と交換できるわけですから、「まあ、この紙に1万円の価値があるっぽいよね」と信用できたわけです。

※先述したように、現代では国の信用と引き換えに通貨を発行する、不換紙幣(金貨との交換を保証しない紙幣)が流通しています。

一方で、ビットコインのシステムには国や政府といった通貨の信用を裏付けする役割を果たす機関が存在しません。

通貨を使用する人々が、国のような信用する先を持たないという状況下で、一体ビットコインはどのように信用を担保しているのでしょうか?(※電子マネーは流通元の会社が信用を担保しているわけですが、ビットコインではそのような機関は存在しません。そもそもビットコイン自体は会社ではなく、単なる数列なので)

なぜ人々はビットコインを貨幣として信用しているのか?この部分がぼやっとしていると、ビットコインが掴みどころない存在に感じられます。(少なくとも筆者はそうでした…)


もともとオタク達の勲章であったビットコイン




ビットコインの構想は、2008年にサトシ・ナカモト(中本哲史)という正体不明の人物の論文により発表され、その後世界中のハッカーやアナーキーなオタク達により作り上げられました。(政府を介さない通貨の誕生というコンセプトがハッカーにささったみたいです)

ビットコインの特徴は、P2P(コンピュータが専用のサーバーを介さないで、接続されたコンピュータ同士で直接やりとりを行うネットワークシステム)で取引をされている点と、金や銀のような鉱物と同じく、採掘(発行)できる総量に限界があるという点です。

まず、P2Pの取引ですが、この形態を取ることにより、ビットコインは銀行などの仲介機関を通さず取引を行うことができるので、決済手数料をめちゃくちゃ安く抑えることが可能になります。国際送金手数料や為替手数料の削減に一役買うと騒がれているのはこのような特徴があるからです。

また、先述したようにビットコインは無限に発行されるわけではありません。ビットコインを手に入れる方法は2つあり、1つ目は全世界50以上ある両替所で円やドルといったリアル通貨と交換する方法。2つ目は、新たなビットコインを採掘(mining)と呼ばれる作業(計算化学的に難しい問題を解く行為)を通じて自ら入手する方法です。

金や銀と同様に採掘できる総量には制限があり、最高でも2100万ビットコインしか掘り起こせない仕組みになっています。なお、2013年11月時点では約1200万枚のビットコインが発掘されています。2020年には90%、2040年までには100%が採掘される予想。

また、採掘作業が進むにつれて、新しい金を掘るために地中深くまで採掘作業を行わなくてはならないのと同様に、ビットコインの残量が少なくなるにつれて発掘のハードルが上がるシステムになっています。

ここで確認しておきたいのは、初期のビットコインは、サトシ・ナカモトの構想に共感したアナーキーなハッカーやオタク達が発掘作業に参加し、その労力の見返りとして受け取っていた対価がビットコインであったということです。いわば、ビットコインは、オタク達の勲章であり、ハッカー達が構築したネットワークは破られないとの信頼のもとに成り立っていた内輪のアングラマネーだったのです。

このようにごく一部のオタクユーザーが使用するアングラマネーであったビットコインですが、物珍しさと利便性に惹かれて徐々にオタク以外の人間がビットコインに注目し始め、その期待が加熱し、現在のような状況に至ります。(※もちろん、個人投機家や機関投資家がこの儲け話しを見逃すわけもなく、ネットやメディアを通じてビットコインの高騰を煽る煽る…)

徐々に多くの人がメディアに煽られ、「ビットコインってなんか価値がありそうだよね…」と思い込みはじめたのが現在の状況です。先述したように共通認識として「価値がある」と思い込んでいる(信用している)人たちの間では、ビットコインは相応の通貨として機能します。

大事なことなので、もう一度言いますと、ハッカー達が手間をかけて構築したネットワークは破られないとの信用のもと、一部のオタクの間で流通したアングラマネーがビットコインです。それを、オタク以外の人たちに「なんとなく」価値がありそうと思い込ませたところがビットコインのすごいところだといえます。


ビットコインの現状



さて、そんなこんなで盛り上がりを見せているビットコインですが、現状はどんな感じなんでしょうか。まとめてみました。


【店舗での決済利用】
ビットコインの盛り上がりに伴って、じわじわとビットコイン決済を導入する企業が増えてきました。WordPressや中国バイドゥ、リアル店舗の飲食店もQRコードを利用したビットコイン決済を導入しはじめています。


【犯罪】
ビットコインは高い匿名性という特徴(誰がいくら保有しているのか、またどのような取引が行われているのかをトラッキングできない)を背景に、麻薬の送金やマネーロンダリングに利用されるケースも多いのだとか。最近摘発されましたが、ビットコインでの取引を前提にして、麻薬取引や殺人依頼を行う「シルクロード」というサイトが有名です。

米国政府はこのような事態を当然問題視しており、取引所に対して利用者の個人情報登録を義務付け、監督体制を強化していきたいとのこと。ただ、規制が強化されることで、トラッキングコストが発生し、手数料がほぼかからないというビットコインの旨味が薄れる懸念もあります。


【ビットコインの取引所】
ビットコインの取引所は世界に50以上あります。日本の渋谷にある「Mt. Gox」では全体の取引の6割以上が行われており、世界最大規模なのだとか。その他は、中国最大の「BTC Chine」が有名。(中国は資本規制が厳しいため、多くのチャイナマネーがビットコインに流れているらしいです)


【類似仮想通貨】
ビットコインの盛り上がりに乗っかって、ライトコイン(Litecoin)、アルファコイン(Alphacoin)、ファストコイン(Fastcoin)のような類似仮想通貨も登場しているみたい。


【発掘作業】
残り約900万ビットコインの採掘を巡り、熾烈な発掘競争が行われているようです。先述したように、ビットコインの埋蔵量が少なくなればなるほど、発掘作業が難しくなるように設定されています。それに伴い、企業は高スペックなコンピュータの導入や、膨大な電力の支払いを余儀なくされ、それらのコストに耐えきれなくなった企業が倒産するケースがちらほら出てきているのだとか。


【ウィンクルボス兄弟がにやり】
Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグに対して訴訟を起こしたことで有名な、ウィンクルボス兄弟は2012年8月頃、まだビットコインの価格が10ドル以下の時に約1100万ドル相当のビットコインを購入しており、最近の値上がりに笑いが止まらない模様。



 ビットコインは通貨になれるのか?


最後に、ビットコインは円やドルのような主要通貨としてのポディションを確立できるのかといった点が気になるところです。

これに関しては、かなり難しいのではないかというのが筆者の意見です。
なぜなら、ビットコインには流通量を調整する政府(ひいては中央銀行)のような機関が存在しないからです。通常、政府は自国の通貨を適正な価格に保つために、金融政策を通じて自国通貨の流通量(価格)をコントロールしようとしますが、ビットコインはそのような調整を行うことができません。

この点に関しては、経済ブロガーのYoshi Noguchiさんが述べていた例が分かりやすかったので引用。

『誰もがビットコインを用いる社会で、商売を始めることを考えよう。100BTCを借りてきて、まずコーヒー豆を仕入れる。トラックで運んできて、焙煎して袋詰めして、それらしい売り文句をつけてスーパーや喫茶店に販売するまでの間に、ビットコインが高騰してしまった。商品と引き換えに得られるはずだった300BTCが、150BTCに減ってしまったのだ。これは困る。社員にも100BTCの給料を支払う約束で、事前の目論見と違って大赤字である。こんなにビットコインが変動してしまっては、商売しにくい。

もちろん貸し手にとっても面倒だ。コーヒー商社には将来がありそうだと、一年の約束で100BTCを貸したら、その間にビットコインバブルが崩壊してしまった。予定通り110BTCは返ってきたものの、それで買える米の量は半分になってしまった。事前の目論見と違って大失敗である。こんなにビットコインが変動してしまっては、貸しにくい』(引用元:なぜビットコインは通貨になれなかったのか)

流通量をコントロールできない通貨は、価格の乱高下に対処できません。価値が変動的な通貨は投機には適していても、商用目的で利用するには不便過ぎるのです。よって、この問題が対処されない限り、ビットコインが通貨としてのポディションを確保することはないように思います。

まだまだ課題が多いビットコインですが、おもしろい存在でもあるので、今後も見守っていきたいところです。

 

【参照元】
国の通貨発行権を脅かす? 世界共通の「ビットコイン」
仮想通貨ビットコイン 便利さ、記者も使って実感
ビットコインについて素人が思う疑問
なぜビットコインは通貨になれなかったのか
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ビットコインが500ドルに乗せたので、これを機会に整理してみる